オーディオにおけるジャーナリズム(小さい世界だからこそ・その1)
ステレオサウンドで働くようになってすぐに編集部の先輩からいわれたことがある。
「ステレオサウンドという本はオーディオ界で誰もが知っていてメジャーな存在だけど、
オーディオそのものがマイナーな存在だからね」
確かにそうだと思って聞いていた。
私が働くようになったのは1982年からだから、すでにオーディオブームというものは終熄していた。
10年以上前のことになるが、菅野先生からいわれたことがある。
「世の中で起っているさまざまなこと、世界の広さからすれば、
オーディオは、このコップ一杯の水くらいのことなんだよ」
その通りだとは思って、このときも聞いていた。
編集部の先輩も菅野先生も、そういわれたあとに特に何もいわれなかった。
だからその先にあることを、いわんとされることを、聞いた者としては考えていく。