オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ヤマハのA1・その3)
ステレオサウンド 44号のヤマハの広告は8ページ続く。
このカラー8ページの広告で紹介されているのは、
スピーカーシステムがNS100M、NS10M、FX1、
コントロールアンプのC2、パワーアンプのB2、B3、
プリメインアンプがCA2000、A1、CA-G1、
チューナーはCT7000、T1、T2、CT-G1、
アナログプレーヤーはYP-D10と YP-D9、それにリニアトラッキングアーム搭載のPX1、
その他にヘッドフォンのHP1000、カセットデッキのTC1000の19機種である。
この19機種の型番は、新製品は赤、従来のからの製品は黒で区分けされている。
それぞれの製品の写真はそれほと大きくなく、余白の多いレイアウトで、
それぞれに製品解説文がつく。
ヤマハはGlobal&Luxurious groupとEssential&Fidelity groupとに分けて、
新製品を登場させる、と広告の冒頭で謳っている。
ただ44号の広告を見るかぎりでは、どの製品がGlobal&Luxurious groupなのか、
Essential&Fidelity groupに属するのはどの製品なのかは、はっきりとしない。
(その2)でも引用しているように、
ヤマハにとってFidelityとLuxuryは製品を不可分に支えるスピリットであり、
一本の線で明確に分類するといったことは不可能なことではあっても、
そのいずれかをさらに意識的にアクセントして行こうかという発想、とある。
つまりFidelityかLuxuryのどちらにアクセントがおかれた製品なのか。
そういう視点で見れば、プリメインアンプでいえばCA2000はGlobal&Luxurious groupとなり、
この時の新製品であるA1はEssential&Fidelity groupということになる。
チューナーでいえばCT7000はGlobal&Luxurious group、T1はEssential&Fidelity group、
アナログプレーヤーのPX1はEssential&Fidelity groupで、
YP-D10、YP-D9はGlobal&Luxurious groupというところか。
スピーカーシステムはどうだろうか。
NS1000MとFX1はEssential&Fidelity groupといえるが、
NS10Mはどちらになるのだろうか。
型番の末尾にMonitorの「M」がついているし、エンクロージュアの仕上げもNS1000Mと同じ黒塗装、
Fidelityにアクセントが置かれているけれど、
Global&Luxurious groupでもよそうな気も捨てきれない。
セパレートアンプは、プリメインアンプよりも形態的にも忠実度を追求しているわけだから、
必然的にEssential&Fidelity groupということになるわけだが、
B3を見ていると、そのアクセントはどちらなのか迷ってしまう。
ヤマハのセパレートアンプとしてすでに知られていたBI、B2とははっきりと形態が違う。
B3と同様の形態のパワーアンプは、それ以降登場していないことも考え合わせると、
どうもGlobal&Luxurious groupの新製品として見えてくる。