新製品(その15)
新製品の登場には、期待して、わくわくしてしまうのだろうか。
先日、Appleから新しいiPhoneとiPadの発表があった。
毎年、この時季には新しいiPhoneが発表されるのが恒例になっているし、
これまでの変遷から型番がどうなるのかは誰にでもわかることである。
しかも、インターネットでは新しいiPhoneが出てしばらくする来年のiPhoneについての予測記事が出る。
発表間近になると、かなり正確な情報が、どこから漏れてくる。
それでだいたいの予想はつくし、大きく外れることはない。
それでも新しいiPhoneの発表には、わくわくするところがまだある。
いったい新製品に、何を期待しているのだろうか。
1979年のオンキョーの広告がある。
チューナーのIntegra T419の広告である。
そこにはこう書いてあった。
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新製品というよりは
〝新性能の登場〟がよりふさわしい。
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この広告を見て、感心した。
新製品とはいったい何か、のある一面を見事に言い表している、と思ったからだ。
新製品の登場は、新性能の登場である。
たまには旧性能の登場といえるモノもないわけではないが、
基本的には、新製品は新性能の登場である。
オーディオマニアが新製品にわくわくしてしまうのは、
それが新製品だから、ということと同じくらい、もしくはそれ以上に、
その製品がどれだけの新性能を持っているのかに期待しているから、ともいえよう。
オーディオ機器の場合「新性能」とは、物理的な性能だけではない。
その製品が聴かせてくれる「音」もまた性能である。大事な性能である。
そして新製品の登場は、新性能の登場だけではない。
iPhoneがそうであるように、新機能の登場の場合もある。
それまでの製品にはなかった機能を搭載しての新製品(オーディオ機器)は、これまでにもいくつもあった。
目立つ新機能もあれば地味な新機能もあった。
消えてしまった機能もあれば、生き残り進歩している機能もある。
オンキョーの広告を見て以来、
新性能と新機能の登場ということは、わりとすぐに考えていた。
けれど新製品は、新性能と新機能の登場だけではないことに、
かなり経ってから気づかされた。
川崎先生の「機能性・性能性・効能性」をきいたことによって、気づいた。