Date: 6月 2nd, 2015
Cate: ケーブル
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ケーブル考(銀線のこと・その4)

KEFのModel 105というスピーカーシステムは、
同時代の同じイギリスのスピーカーシステムであるスペンドールとくらべると、
音の性格そのものが本質的なところで違っている。

BCIIもBBCモニターの流れを汲むスピーカーとはいえ、
その音の本質は、聴き手に緊張を強いるところは排除されているといえるほど、
全体に艶のあるたっぷりとした響きをともなって聴かせる。

ゆえに瀬川先生はBCIIは、アキュレイトサウンドという括りをされているが、
《厳密な意味では、精確な音の再生と快い音の再生との中間に位置する》と、
「続コンポーネントステレオのすすめ」の中で指摘されている。

Model 105には、そういう面はない。
瀬川先生は《厳格な音の分析者》と表現されている。
そういう性質のスピーカーであり、
このスピーカーシステムの特徴でもあるインジケーターランプを使い、
KEFの指示通りのセッティングを行えば、冷静な音を聴き手の前に展開してくれる。
こういう鳴り方だと、聴き手はやや緊張が強いられるところもなくはない。

瀬川先生はステレオサウンド 45号の試聴記に、
《かなり真面目な作り方なので、組合せの方で例えばEMTとかマークレビンソン等のように艶や味つけをしてやらないと、おもしろみに欠ける傾向がある。ラフな使い方では真価の聴きとりにくいスピーカーだ。》
と書かれている。

そうなのだ、艶、色気がたっぷりしていなくともいい。
そこまでいったらもうKEFのModel 105とはいえなくなる。
だが、わずかな艶とか色気といった、
いわば、それはスピーカーでの演出ということになるのだが、そういった要素を求めたくなる。

そのことが、私の中では銀線と結びついていった。

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