日本のオーディオ、これから(NIRO Nakamichiの復活・その3)
NIROのデビュー作、NIRO 1000 Power Engineを、ステレオサウンドの記事で知ったときの衝撃は、
私にとってはナカミチのどんなカセットデッキの登場よりも大きかった。
よくこんなモノを作ったな、と写真を見て思っていた。
そして、この会社が長続きするのだろうか……、とも思っていた。
いまもNIROというブランドは残っている。
会社名はniro1.com(ニロウワンドットコム)で、社長はもう中道仁郎氏ではない。
なぜかNIRO 1000シリーズのページは残ったままになっている。
中道仁郎氏がいつNIROから離れられたのか正確には知らない。
そして2013年、NIRO Nakamichiを興されたことは、なにかのニュースで知っていた。
けれど新製品として発表されたのは、カセットデッキでもなく、NIRO時代のようなアンプでもなく、
カーオーディオだった。
自身の名前をブランドとする例は、日本にも外国にもいくつもある。
オーディオだけでなくさまざまな業種にある。
けれどたいていは苗字だけである。
フルネームを会社名、ブランド名にするのは、そう多くない。
マーク・レヴィンソンがMark Levinsonとしたのが、オーディオでは最初だろう。
NIROのあとにNIRO Nakamichi。
フルネームの会社名でありブランド名である。
これが最後であるという覚悟なのだろう、と私は受けとめている。
だから最初の製品がカーオーディオで少しがっかりしていた。
そして、いつの間にかNIRO Nakamichiのことは忘れてしまっていた。
そこに今回のスピーカーシステムの発表である。