Date: 2月 22nd, 2015
Cate: plus / unplus
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plus(その14)

オーディオには、アクースティック蓄音器を始点としてあらゆるものがプラスされてきている。
アクースティック蓄音器時代にはプログラムソースはディスクのみだった。
そこにラジオが加わり、テープも誕生した。

テープの誕生は、それまで再生のみだったオーディオシステムに、録音という機能をプラスした。
テープもオープンリールテープ、カセットテープ、エルカセットテープが種類が増えていった。

そしてデジタルという技術が新たに加わってきた。
デジタルにもディスクとテープがあり、
デジタルのその後にはパーソナルコンピューターの誕生と普及、
そしてインターネットも加わり、これらによるオーディオとの結びつきが新たに生れている。

新しい技術が生れ、それがオーディオに採り入れられ性能、機能を拡充していくことを、
進歩であると、ほぼ無条件に思い込んできている。

たしかに進歩はしている。
アクースティック蓄音器に電気という、目に見えないものがプラスされたことで、
再生音域は拡大し、音量に関してもそうとうな大音量まで得られるようになり、
しかも自由に調整ができるようになったのだから。

けれど考えをすこしだけ変えてみると、電気がなければ現在のオーディオ機器はまったく動作しない。
アクースティック蓄音器であれば、電気がなくともレコードを聴くことができる。
これは全面的に進歩といえるのだろうか。

モノーラルからステレオになったことも、同じことはいえる。
それまで一本のスピーカーシステムとそれを鳴らすアンプがあればすんでいた。

けれどステレオは最低でも二本のスピーカーシステムが要る。
アンプだって2チャンネル分必要となる。
片方が故障してしまえば、片チャンネルの音しか聴けない。
それからステレオになったからこそクロストークという問題も生じている。

完全なる進歩といえるものがあるとすれば、
たとえば一本のスピーカーでステレオ再生が可能なモノではないのだろうか。

この項のカテゴリーは、plus / unplusとしている。
unplusという単語はない。
勝手な造語である。
un-は、形容詞·副詞につけて「不…」の意を表わす。

技術は新しいものを生む。
それらがこれからもオーディオ機器に採り入れられていく。
そのことには積極的でありたい。
けれど、同時にplusすることばかりでなく、unplusすることも考えていかなければならないのではないか。

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