BBCモニター、復権か(その16)
スピーカーの完成度は高くなり、完結しているのが理想ではある。
けれど完成度を高くすることを目指しているうちに、完結することを忘れてしまったスピーカーもある。
そういうスピーカーシステムのつくり手は、もしかすると完結していることを目指していないのかもしれない。
私は完成度の高さとともに完結していることをスピーカーに求めているけれど、
すべてのつくり手がスピーカーを完結させようとしているとは限らないし、
また受け手(鳴らし手)においても、私と同じように完結していることを求めている人もいれば、
ひたすら完成度の高さのみを求める人もいよう。
だから完成度が高く完結していることを理想とするのは、必ずしも一般的な理想とはいえないのかもしれない。
どちらが正しいということではなく、完結であることを求める人とそうでない人とでは、
スピーカーの評価も違ってくる。
BBCモニターは、いうまでもなくモニタースピーカーとして開発されたモノだ。
モニタースピーカーをどう定義するのかについて、ここで書いていくと、
いつまでも先に進めなくなるので割愛するが、
モニタースピーカーに完結していることは求められるのか。
私がこれまでに聴いてきたBBCモニターに感じてきた完結している良さは、
つくり手が意識していたことなのか、それとも聴き手(つまり私)の勝手な解釈にすぎないのか。
LS3/5A、LS3/6、LS5/9と復刻が続いているBBCモニターをじっくりと聴く機会はないものの、
なんとなく感じているのは、このことである。
なんとなくでしかないのだが、完結しているかどうかに関してのつくり手側の意識はないか、
稀薄になってしまったかのように感じてしまっている。
そこで、BBCモニター、復権か、と考えてしまう。