モノづくりとオーディオのプロフェッショナル(その4)
こういう人のことを、ひそかにマーク・レヴィンソン症候群と呼んでいる。
アメリカではマーク・レヴィンソンの成功に刺戟され、
第二、第三のマーク・レヴィンソンを目指すエンジニアがいた。
あのころ、オーディオはベンチャービジネスであった。
アメリカだけではない、日本にもそういう人たちはいた。
会社を興し成功した人もいれば失敗した人もいる。
いまも続いている会社があれば、あっという間に消えてしまった会社もいくつもある。
私は会社を興した経験はないけれど、あまり慎重になりすぎても起業することは無理であろう。
いくばくかの無謀ともいえる勢いがなければ起業はできないのかもしれない。
とはいえ、知人のようにスピーカーを自作する。
それが彼の好む音で鳴ってくれた。
そこには開発費も生じていない。
そのことで、彼自身が自分のことをすごいと思い込む。
それが勢いとなり、スピーカーメーカーを興せるのじゃないか、となる。
だが多くの人は、ここで周囲の人に聴いてもらうのではないだろうか。
少なくとも信頼できる人に聴いてもらい、その評価を受けとめる。
それでも評判がよければ、本気でオーディオメーカーを興そうとなるかもしれない。
そうやって誕生したメーカーは少なくない。