江川三郎氏のこと(その2)
江川三郎氏のことを昨夜知った時点で、江川氏について書こうとどうか迷った。
江川三郎ときいて私がまっさきに頭に浮かべることからもわかるように、
私が江川三郎氏の書かれたものを熱心に読んでいたのは1980年以前である。
1980年代もオーディオアクセサリーに書かれたものは読んでいた。
ヒントとなることがあったからだ。
1990年代にはいると、あまり読まなくなっていた。
この十年ほどはまったくといっていいほど読まなくなっていた。
そんな読み手でしかなかった私だから、江川三郎氏について何が書けるのだろうか、となる。
たいしたことは書けない。
それがわかっていても、いくつかのことは書いておこう、と思った。
まず書きたいのは、逆オルソンについてである。
私と同世代、少し上の世代のオーディオマニアの方だと、逆オルソンといえばすぐにわかってくれる。
そしてたいていの人が「やったことがある」と答えてくれる。
私も高校生のとき、逆オルソンはやってみた。
やっては元に戻し、また江川氏の記事を読んでは逆オルソンにしてみたり、
そんなことをくり返した。
逆オルソンとは、左右のスピーカーを中央にくっつかんばかりに寄せて、ハの字に向ける。
通常のスピーカーセッティングでは左右を離して、聴き手を向くように設置するが、
逆オルソンはスピーカーが聴き手ではなく壁に斜めを向くように置く。
そして左右のスピーカーのあいだに仕切り板を立てる。
最初逆オルソンを試した時、仕切り板がないままだった。
二回目は仕切り板を用意してやった。
けれど私は逆オルソンはとらなかった。