名器、その解釈(その2)
ステレオサウンド 50号の旧製品 State of the Art 賞の扉にはこう書いてある。
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往年の名器の数々の中から、〝ステート・オブ・ジ・アート〟賞に値する製品を選定していただいた。
以下に掲載した製品がその栄誉ある賞を獲得した名器たちであるが、いずれもその後のオーディオ製品に多大な影響を与えた機種であり、また今日のオーディオ発展のための大きな原動力ともなったものである。ここではこれらの名器がなぜ名器たり得たのか、そこに息づいているクラフツマンシップの粋、真のオーディオ機器の精髄とは、を探っている。
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ここには名器という言葉の他に、クラフツマンシップの粋、という言葉もある。
古い読者の方なら「クラフツマンシップの粋」ときいて、
このころステレオサウンドに連載されていた同盟の記事を思いだされるはずだ。
「クラフツマンシップの粋」の1回目は37号(1975年12月発売)に載っている。
とりあげられているのはマランツの#7、#9、#10B。
2回目は38号。JBLのSG520、SE400S、SA600。3回目は39号で、ガラード301、トーレンスTD124。
4回目は41号。JBLのハーツフィールド。
5回目は43号、QUADの管球アンプ、6回目は44号、アンペックスのデッキ。
7回目は45号でエレクトロボイスのパトリシアン・シリーズ、
8回目(最終回)はノイマンDSTなどのカートリッジだ。
この「クラフツマンシップの粋」でとりあげられたオーディオ機器は、
ほとんど旧製品 State of the Art 賞として選ばれている。
50号で掲載されているの機種は以下のとおり。カッコ内は執筆者。
●スピーカーシステム
エレクトロボイス Patrician 600(山中)
JBL D30085 Hartsfield(柳沢)
タンノイ Autograph(岡)
KEF LS5/1A(瀬川)
シーメンス Eurodyn(長島)
JBL Olympus S7R(柳沢)
ローサー(ラウザー) TP1(上杉)
AR AR-3a(岡)
●スピーカーユニット
ウェスターン・エレクトリック 594A(山中)
グッドマン AXIOM 80(瀬川)
ジェンセン G610B(長島)
●コントロールアンプ
マランツ Model 7(山中)
JBL SG520(菅野)
フェアチャイルド Model 248(岡)
●パワーアンプ
マランツ Model 9(長島)
マッキントッシュ MC3500(山中)
マッキントッシュ MC275(菅野)
マッキントッシュ MC240(上杉)
マランツ Model 2(井上)
QUAD QUAD II(岡)
ラックス MQ36(井上)
●FMチューナー
マランツ Model 10B(長島)
●プレーヤーシステム
EMT 927Dst(瀬川)
●ターンテーブル
ガラード 301(柳沢)
トーレンス TD124(岡)
T.T.O R-12(瀬川)
●カートリッジ
ノイマン DST(山中)
デッカ MKI(岡)
●トーンアーム
SME 3012(瀬川)
グラド Laboratory Tone-Arm(瀬川)
ほとんどが、名器として個人的にも納得できるモノばかりである。