ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その35)
スレッショルドの800Aからすると、349Aのアンプは、トランジスターと真空管、
規模も大きく違うし、出力も違いすぎる。
349Aのアンプには、800A的「凄さ」はない。
それでも、清楚な音ということでは、このふたつのアンプは、少なくとも私の中では共通しているものがあった。
いつかは800A、という気持は残っていた。
もし800Aを手に入れることができたとしても、この349Aのアンプだったら、そのまま手もとに置いておける。
季節や気分によって、800Aと接ぎかえて聴くのも楽しいだろうな、とも思っていた。
そうPM510のために、スタンドをつくろう、とも計画していた。
KEFのLS5/1Aの鉄製のスタンドを参考にして、響きのよい木を使って、ほぼ同じ形にする。
そしてパワーアンプの置き台も、LS5/1Aのスタンドと同じように途中にもうけて、そこに349Aのアンプを置こう。
そんなことをあれこれ考えて、楽しんでいた時期だ。
これらをすべて実現するにはけっこうな時間がかかっていただろう。
けれど、一枚のレコードと出会ってしまい、スピーカーを変えることになる。
カザルスのベートーヴェンの第7番と出会ってなければ、PM510をずっと使い続けていたかもしれない。
このとき、シーメンスのコアキシャルにした。