Date: 12月 6th, 2010
Cate: 朦朧体
Tags:

ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その36)

私がつくろうとしていた349Aのプッシュプルアンプは、伊藤先生が発表されたもので、
回路はウェストレックスのA10とほぼ同じ。
出力段は349Aを五極管接続で使う。UL接続でもなく、三極管接続でもない。
伊藤先生からは、349Aは、五極管接続で使いなさい、といわれたことがある。
しかもNFBは出力段の手前から初段管に返す。
出力段、出力トランスはNFBのループに含まれない。

つまり出力インピーダンスは、そこそこ高い値になる。
いわゆるダンピングファクターは、この値を気にする人にとっては、まったくの論外といえるアンプである。
だから、どんなスピーカーでも鳴らせるものではない。
出力も8Wだし、ダンピングファクターも低い。

PM510がうまく鳴るのか、は結局試さなかったが、うまく鳴ったと思う。
もちろんボリュウムはあまりあげられない。あくまでもひっそりと鳴らす。

けれどPM510にふくよかなよさがあるし、349Aの音の良さからして、
音量をぐんと絞ったときでも、決して音がやせることなく、つつみこむ良さは発揮された、はずだ。
だが、これではカザルスのベートーヴェンを、そのとき私が望んだようには聴けない、という予感もあった。
たった1枚のレコードによって、スピーカーを変える。
もう少し、あときの部屋が広くて、経済的に余裕があればPM510は手放したくなかった。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]