ミキサーはコントロールアンプたり得るのか(その1)
私がオーディオに興味を持ち始めた1970年代後半には、ミキサーの一部がコントロールアンプとして存在していた。
岩崎先生が愛用されていたクワドエイト(QUADEIGHT)のLM6200Rがその筆頭だし、
イタリアのギャラクトロン(Galactron、輸入元:成川商会)のMK16、
ベルギーのロデック(Rodec、輸入元:今井商事)のMixmaster、
それにマークレビンソンのLNP2は、もともとミキサーとして開発されたLNP1がベースとなっているし、
LNP2をミキサーとして作りかえたモノが、当時のチック・コリアのコンサートでは使用されている。
1970年代のステレオサウンド別冊HI-FI STEREO GUIDEには、ミキサー/ノイズリダクションのページがあった。
当時は生録もブームだったこともあり、据置型だけでなく可搬型のミキサーもいくつかあった。
可搬型のモノはAC電源だけでなくDC電源パックが用意されていた。
この時代はまだCDは登場していなかったから、アナログディスクがプログラムソースの中心であり、
上記のモデルはすべてフォノイコライザーを搭載していた。
つまりフォノイコライザーがなければコントロールアンプとしてみなされなかった、ともいえる。
いまならば単体のフォノイコライザーアンプがいくつも登場してきているし、
アナログディスクを聴かない人もいるから、
フォノイコライザーを搭載していないミキサーでも、コントロールアンプとして使える、といえる。
ミキサーによってはパラメトリックイコライザーを搭載している機種もある。
ギャラクトロンのMK16は10バンドのグラフィックイコライザーを搭載していた。
クワドエイトのLM6200Rにはない。
ロデックのMixmasterには、いわゆるBASS・TREBLEのトーンコントロールがついていた。
コントロールアンプとミキサーとをわけるものといえば、ミキシング機能の有無なのだが、
それ以外にコントロールアンプとミキサーの共通するところ、そうでないところ、はっきりと違うところ、
これからのコントロールアンプ像を考えていく上で、ミキサーの存在は無視できないのではないか。