Date: 11月 24th, 2014
Cate: 名器
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名器、その解釈(続・中古か中故か、ヴィンテージか)

vintageをオーディオ機器の型番に最初につけたのは、サンスイのはずだ。
1981年登場のプリメインアンプAU-X11 Vintageがそうである。

型番からわかるようにこのプリメインアンプは、
1979年登場のサンスイのプリメインアンプとして別格ともいえるAU-X1の後継機である。

この後継機の型番を、単にAU-X11とせずに、Vintageをつけている。
このあと、サンスイはセパレートアンプにもVintageをつけるようになっていく。

このころのサンスイのプリメインアンプは、ひとつのモデルをベースに改良を加えていく手法をとっていた。
AU607、AU707からはじまったプリメインアンプのシリーズは、
AU-D607、AU-D707になり、このとき上級機としてAU-D907が加わり、
その後も型番の末尾にアルファベットがつき、数字の前のDもαに変更されて続いていった。

AU-X1はそんなプリメインアンプをベースに、ひとつ格上のプリメインアンプ、
最上級機としてのプリメインアンプ、セパレートアンプと伍するプリメインアンプとして登場しただけに、
AU-X11のVintageには、熟成という意味も含まれていたことだろう。

当時のステレオサウンドの記事を読めば、音楽愛好家への最高の噌り物という意味を込めて使われたことがわかる。
AU-X11 Vintageが型番のつけ方として優れていたかどうかは別として、
型番に込められているサンスイのおもいはわかるし、
vintageをどう捉えるのか、それは人によって時代によって違ってくるものだから、
あまり言葉本来の意味にとらわれてしまうのもどうかと思う。

マランツのModel 7が登場した時に新品で購入した人もいる。
その人がずっと使いつづけている。
登場して50年以上が経っている。
どんなに大切に使っても、不具合がいままで生じなかったことはないはずだ。
なんらかの修理、メンテナンスが施されている。

このとき、どんな修理、メンテナンスを施すのか。
それによって、Model 7はヴィンテージ・アンプと呼ぶにふさわしいモノになっていくだろうし、
中古として呼べないモノになっていく。

私はヴィンテージ(vintage)をつけて呼ぶことができるのは、メーカーと使い手なのだと思う。
育てていくことができるメーカーと使い手のためのことばである。
販売店が商売のために、オーディオ雑誌が関心をひくためにつけるものではない。

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