試聴ディスク考(ステレオサウンド別冊・魅力のオーディオブランド101)
1986年、ステレオサウンド創刊20周年記念別冊として、「魅力のオーディオブランド101」が出ている。
その名のとおり、国内外のオーディオブランドを101社紹介した内容。
海外メーカーに関しては菅野沖彦、柳沢功力、山中敬三の三氏による座談会形式だが、
国内メーカーに関しては、取材方法が違っている。
井上卓也、上杉佳郎、菅野沖彦、長島達夫、柳沢功力、山中敬三、
この中から二氏、または三氏がメーカーの試聴室を訪ねての構成となっている。
すべての国内メーカーを訪問しているわけではないが、
アキュフェーズ、アカイ、オーディオテクニカ、デンオン、ダイヤトーン、フォステクス、ケンウッド、
京セラ、ラックス、マランツ、ナカミチ、NEC、オンキョー、パイオニア、サンスイ、ソニー、ティアック、
テクニクス、ビクター、ヤマハのに関しては、
試聴室の写真と試聴機器のラインナップ、それに試聴ディスクが紹介されている。
「魅力のオーディオブランド101」は、この部分だけでも資料としての価値がある、といえる。
ステレオサウンド創刊20周年だから、1986年当時、
国内メーカーがどういうスピーカーシステムで、どういうアンプを使い、
どういうプログラムソースを鳴らしているのかが、その一部とはいえ知ることができる。
このことは少し時間が経ってから眺めるほうが興味深い、と私は感じている。
個人的におもしろいな、と感じたのはダイヤトーンだった。
できれば上記メーカーすべての試聴機器と試聴ディスクについて書き写しておきたいが、
意外と面倒な作業なので、ダイヤトーンだけにしておく。
試聴システムは、オープンリールデッキがアンペックスの440C、
デジタルレコーダーが三菱のX80、CDプレーヤーはフィリップスのLHH2000。
入力系はすべて業務用機器に統一されている。
アンプはパワーアンプがスレッショルドのStasis1である。
すでに製造中止になっているモノを使い、
コントロールアンプは無しで、P&GのPAF3022W(パッシヴフェーダー)でレベルコントロールをしている。
スピーカーシステムはダイヤトーンのDS10000と2S305。
試聴プログラムソースは、
CDがハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団によるマーラーの交響曲第四番、
PCMテープは三菱オリジナル録音のもの、
オープンリールのアンペックス用は、2S305をモニター使用したオリジナルテープ「ティファナ・タクシー」。
このことから見えてくるものは人によって違ってくるかもしれない。
おそらく違うだろう。
こんなことが何の役になるのか、と思う人もいるだろうけど、見えてくるものがはっきりとあることは確かである。