2014年ショウ雑感(プロフェッショナルとは・その3)
オーディオのプロフェッショナルとはいうことでは、このことを書いておきたい。
オーディオ・ホームシアター展でのことだった。各ブースをまわっているときだった。
エレベーターホールのところで、どこかのブースの人が、別のブースの人に対して愚痴を言っているのが聞こえた。
ひどい音だ、耳が痛くなる。
そんなことをけっこう大きな声で、ほとんど一人で話しているが聞こえてきた。
私はそれほど近いところにいたわけではなかった。
それでもはっきりと聞こえてきていた。
どこのブースの人なんだろう……、こんなところで話すことではないだろう、と思っていた。
あるブースに入った。
オーディオ・ホームシアター展でも、ハイエンドオーディオショウと同じようなやり方のブースがあった。
ひとつの広めのブースを複数の出展社で使う、というものである。
そのブースは、ピストニックモーションではないスピーカーシステムが鳴っていた。
そのスピーカーの、製品としての完成度はお世辞にも高い、とはいえなかった。
それでも、面白い音だと感じていた。
いい悪いは、ほんの短い時間しか聴けなかった。
二分ほどだったろうか。
同じブースの、別の出展社の人が、腕時計を指さして、「あと一分」とにらんでいた。
この「あと一分」と言っていた人が、さきほどエレベーターホールで愚痴を言っていた人だった。
このスピーカーのことを貶していたのか、この音のことを言っていたのか、とわかった。
人の評価基準はさまざまだったりする。
だから、ある種の音を認めない人がいるのも知っている。
けれど、愚痴を言っていた人も、オーディオのプロフェッショナルであるべきだ。
嫌いな音だからといって拒絶するのではなく
そこで鳴っていた音から良さを聴き出そうとする姿勢をもってこそ、プロフェッショナルである。
そこまで求めてはいけない時代が来ているのかもしれない、と感じた。
それにしても、アマチュアのように、一般来場者に聞こえるように愚痴をいうのはやめるべきだ。
プロフェッショナルとしての最低限のマナーのはずだ。