ある写真とおもったこと(その10)
録音された音楽の聴かれ方は、じつにさまざまであり、しかもみな違う音で鳴っている。
ずいぶん以前のこと、ある有名人の部屋の写真が、なにかの雑誌に載っていた。
音楽関係では多くの人が知る、その人は、左右のスピーカーを二段重ねにしていた。
上段のスピーカーが左チャンネルなのか右チャンネルなのか、
写真では知りようがなかったが、この写真を見て、オーディオに関心のない人は、
ステレオのスピーカーは、こんなふう(二段重ね)にしていいんだ、と思っても不思議ではない。
あるオーディオ店では、スピーカーが左右反対に接続されていたことがあった。
高価なオーディオ機器を売ることで有名なところでも、そんな状況である。
ステレオ再生のいちばんの基本である左チャンネルのスピーカーは左側に、
右チャンネルのスピーカーは右側に設置する、ということすら守られていないことがある。
しかもシステムが違ってくるわけである。
どんなディスク(録音)であれ、同じ音に鳴ることを期待するのが無理というものである。
録音された音楽の共通体験ということを考える時、このことをどう扱うべきなのか。
けれどiPodはそうではない。
iPodの登場の前にAppleはiTunesというアプリケーションを用意していた。
このiTunesがiPodを管理することになり、共通体験を可能にしているといえるし、
iTunes Storeの開始もそうである。