音の聴き方(マンガの読み方・その3)
四コマ・マンガと複数頁にわたるマンガの違いがあるとしたら、
コマ割りだと思う。
四コマ・マンガはその名の通り四つのコマしかない。
しかもコマの大きさは同じで、コマの形も同じである。
複数頁にわたるマンガ(面倒なのでマンガと略す)の場合、
一ページ当たりのコマ数に、何コマまでという決りはない。
二ページ見開きで一コマというものから、こまかくコマ割りしてあり十コマ以上ものも珍しくない。
しかもコマの大きさ、形も実にさまざまである。
コマの形はたいていは長方形だが、正方形である場合もあるし、
長方形でも縦横の比率が大きく違う場合もある。
台形や三角形のコマもある。
四コマ・マンガではコマの枠線は必ず描かれているが、
マンガの場合、コマによっては枠線を省略していることもある。
そういうマンガの読み方とは、どういうことなのか。
ひとつ言えるのは、右頁の上段右端のコマから読みはじめる、ということぐらいである。
コマの進み方も、場合によって違ってくる。
私が読んできたなかで、こんなコマ割りもあるのか、と感心するのが多かったのは、石森章太郎のマンガだった。
当時読んでいたのは、サイボーグ009、仮面ライダー、人造人間キカイダーなどだ。
これらのマンガのコマ割りは、それまでのマンガの通例からは大きく離れていることもあった。
初めて見るコマ割りも少なくなかった。
そういうコマ割りでは、コマの順序という決り事に捕われていては、戸惑うばかりではないだろうか。
マンガは二ページ、もしくは一ページ全体をまず見ることから、読むことは始まるといえる。
つまり最初から右頁の上段右端のコマを凝視してしまっては、
マンガを読むという行為を強く意識してしまうような気がする。
理解しようと凝視すればするほど、難しくなっていくから、
文字から先に読んだらいいのか、絵を先に見たらいいのか、ということになるのではないだろうか。