ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その6)
JBLの4310のクロスオーバーネットワークは、これ以上部品を省略することができないまで簡潔な仕様である。
以前にも書いているように、4310(4311以降のモデルも含めて)のネットワークを構成している部品は、
コンデンサーが二つに、レベルコントロール用のアッテネーターが二つである。
コイルは使われていない。
ウーファーはネットワークを必要としない設計である。
スピーカー端子から直接ケーブルが接続されているだけ。
スコーカーも基本的に同様で、高域カットをネットワークでは行っていない。
低域カット用にコンデンサーが一つ直列に入っているだけ。
トゥイーターもスコーカーは同じである。低域カット用のコンデンサーが一つだけ。
これ以上部品点数を減らそうとしても、コンデンサーは省けない。
4310は3ウェイのスピーカーシステムとして、ネットワークは最も簡単なつくりである。
しかも4310では、スコーカーのバックキャビティもない。
ドーム型ならばバックキャビティはなくても問題ないが、
コーン型のスコーカーの場合、ウーファーの背圧の影響を避けるためにバックキャビティを持つ。
4311になってからはバックキャビティがあるが、4310にはない。
大胆な設計だと、感心する。
ネットワークはこれ以上省略できないところで設計し、
スコーカーのバックキャビティもない、という内部に対して、
4310の特徴はフロントバッフルに顕れている。
スコーカー、トゥイーター、バスレフポートは三つまとめてサブバッフルにとりつけられている。
このサブバッフルの形状はウーファーを囲むように弓形になっている。
4311から、このサブバッフルはなくなっている。