オーディオマニアとして(その2)
「オーディオマニアは、いつも装置をいじってばかりいる」。
こんなふうな厭味をいわれることがある。
確かにいじっている時間は短くない。
ステレオサウンドで働いていたころは、仕事でオーディオをいじっていて、
帰宅後、今度の自分のシステムをいじる、そんなことを飽きずによくやっていた。
いじっている時間は、ときには長いこともある。
私も20代のそんなころからすれば、あまりいじらなくなっている、ともいえるが、
それでも徹底的にいじることに集中する時期は、いまでもある。
そういう時期を過ぎれば、ほとんどいじることなく聴いているだけの時期が続き、
またしばらくすると、なにのかきっかけがあろうとなかろうと、いじる時期に移行する。
なぜ、オーディオマニアはいじるのか。
音を良くしたいから、ということになっている。
最近、ほんとうにそうだろうか、とも思うようになってきた。
何度か書いているように、オーディオ機器は劣化する。
どんなに大切に扱っていたとしても、劣化は絶対不可避の現象である。
このことを強く意識している、していないに関係なく、
オーディオマニアは、このことを感じているからこそ、
オーディオマニアでない人よりもいじる傾向にあるのではないか。
つまり音を悪くしないために、いじっている。