Date: 7月 1st, 2014
Cate: 再生音
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続・再生音とは……(生演奏とのすり替え実験・その2)

ビクターによる生演奏とのすり替え実験の詳細がどんなものだったかは、手元に資料がない。
昭和41年(1966年)7月だと、まだステレオサウンドも創刊されていない。
ラジオ技術、無線と実験のこの時のバックナンバーを、
大きめの図書館に行き調べればおそらく記事になっている、と思う。

いまは手元にあるものといえば、ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」のビクター号だけである。

このムックの巻末にはビクター50年史がある(このムックが出たのは1977年)。
それによれば最初のすり替え実験は昭和35年(1960年)11月に行われている。

朝日講堂にて、藤家虹二クインテットの生演奏と録音テープとのすり替え実験で、
スピーカーはビクターのLCB1CX4が使われている。
LCB1はコニカルドーム付きのウーファーを搭載したフロアー型システム。

二回目は昭和40年(1965年)7月16日に、一回目と同じ朝日講堂で行われ、
音楽評論家、オーディオ評論家、報道陣、特約店と客、約450名が招かれている。
この時演奏したのは北村英治クインテット。
使われた機材はスピーカーはBLA50、アナログプレーヤーはSRP467など、すべて市販されているモノばかりである。

これが第一回ビクターステレオテクニカルフェスティバルである。
すり替えに気づいた正解者は9人とのこと。

ビクターの社報誌にその様子が掲載されたようで、
それが「世界のオーディオ」にも囲み記事として載っている。
     *
 ナマ演奏を途中でステレオレコード演奏にスリ替えるということで、音楽評論家をはじめ、多くのオーディオファンが注目していた「ビクターステレオ・パーフェクトサウンド・フェスティバル」は、さる7月16日午後6時半から、東京有楽町の朝日新聞社朝日講堂ではなやかに開催されました。音楽評論家、音響評論家、特約店とそのお客さま、報道陣など、約450名が招かれました。
 ナマからレコード演奏にスリ替えるのは世界ではじめての試みだけに、場内は一瞬カタズをのんで静まりかえります。曲はクラリネットの音がさえる「アバロン」──。クインテットの背後には8個のスピーカーバッフル(BLA50)が置かれています。場内の聴衆は身を乗り出すようにして、スリ替え個所を聞き出そうと耳をそばだたせています。曲は終りに近づきました。と、突然彼らは演奏をやめて聴衆に向かっておじぎをしました。しかし曲はなおも演奏されているのです。舞台のそでの幕がひらかれました。一個のプレーヤーが現われ聴衆がアッケにとられているうちに司会者がプレーヤーをとめました。思い出したように、かっさいの拍手。大成功でした。スリ替えの個所を当てるアンケートの正解者はたったの9名。
     *
五年前の実験ではテープだったのが、今回はレコードに変っている。

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