なぜ逆相にしたのか(その6)
バックプレッシャーの構造を考えだしたのは、やはりランシングだと私は確信している。
だから、あくまでもそのことを前提に、この項については話を進めていく。
ウェスターン・エレクトリックの555と
ランシング・マニュファクチャリングの284以降のバックプレッシャー型と、その構造を比較していくと、
その構造の理に適った見事さと、大胆な発想に、ランシングの天才的な才能を感じることができる。
あの時代、どうして、こういう逆転の発想ができたのだろうか。
そして、ランシングはこの逆転の発想、ときにはややアマノジャク的な発想を得意としていたようにも思えてくる。
しかも完成度の高い製品に仕上げている。
D101とD130の違いにしても、そうだ。
D130で開発で行ったことの源泉に近いものは、すでに284開発時にもあったのでは……。
だからユニットの極性を逆相にした、とは正直思っていない。
あえて逆にした明確な理由があるような気がしてならない。
それを解く鍵となるのが、振動板の形状と、
そのことに関係してくる振動板の動きやすさの方向性ではないだろうか。