JBL 4345(その5)
4345は1981年に登場している。
だからというわけではないが、瀬川先生のステレオサウンド 58号の文章を読んで強く感じたのは、
4345はJBLの1980年代のスタジオモニターである、ということ、
そして4343は1970年代のスタジオモニターなのだ、ということだった。
4343だけではなく、4350もやはり1970年代のスピーカーシステムなんだな、ということを思っていた。
瀬川先生が書かれている4345の音の表現は、それまでの4343、4350の音の表現とは違うように感じたからである。
そのことは4345について書かれた文章だけでなく、
SMEの新型トーンアーム3012-R Specialについて書かれた文章と併せて読むことで、いっそう強く感じる。
JBLのコンシューマー用スピーカーシステムにあらわれはじめてきた音が、
プロフェッショナル用スピーカーにもあらわれてきたんだ、と思い、
4345の記事、3012-R Specialの記事を何度も読み返した。
JBLのコンシューマー用スピーカーとして、4345の少し前に登場したモデルにL150がある。
ステレオサウンド 54号のスピーカーシステムの特集記事に出ている。
瀬川先生の試聴記を引用しよう。
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少し前までのJBLは、かなり高額にならないと、音の質やバランスに納得のゆかない製品が多かったが、最近はローコストのほうも作り方が巧みで、一本筋が通ってきた。L150も近ごろちょっと感心した。たとえばブルックナー。コンセルトヘボウにしてはちょっと明るいきらいはあるにしても、相当に上質で滑らかで、本もののオーケストラの味わいが確かに鳴る。音量を絞っても音像がくっきりしていて、音の細やかさが損なわれない。ピアニシモでひっそりした印象を与えるのは、相当に優秀なスピーカーである証拠といえる。フォーレのヴァイオリン・ソナタでも、JBLでこんなにしっとりした雰囲気が? と驚きながら、つい聴き惚れてしまう。ここまできてようやく、テスト用以外のレコードを次々と聴きたい気持にさせ、しかもどのレコードを聴いても裏切られないスピーカーが出てきた。一枚一枚について細かく書くスペースのないのがとても残念だ。アンプ、カートリッジも選り好みせずそれぞれの魅力をよく生かす。
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「JBLでこんなにしっとりした雰囲気が?」と書かれている。
58号にも、同じ表現が出てくる。