JBL 4350(その6)
西暦は0年からではなく1年から始まっているのだから、
1970年代となると1970年から1979年ではなく、1971年から1980年ということになる。
1970年代の最後の年に、ふたつのマーラーが録音され、翌年(1980年代の最初の年)に出た。
ひとつはショルティ/シカゴ交響楽団によるマーラーの第二交響曲。
デッカでの、ショルティ二度目の録音である。
最初の録音はロンドン交響楽団。
このときの録音もそうなのだが、シカゴ交響楽団との二度目の録音でも、
第一楽章の冒頭の低弦の鳴り方は凄まじいものがある。
この凄まじさに支えられたオーケストラの響きは凄まじくもあり、威圧的でもある。
こういう音は、実際のコンサートでは、ショルティ/シカゴ交響楽団であっても聴けない、と思う。
他の指揮者、他のオーケストラの組合せであっても、
ショルティ/シカゴ交響楽団が録音でのみ聴かせる強烈なバランス(決して不自然だとは感じない)は、
絶対に聴くことはできないのではないか。
その意味ではショルティの第二交響曲に関して、
その録音アプローチに否定的なことをいう人はいるだろう。
こんな音はナマのコンサートでは聴けない。
録音でつくられた音、響きだ、と。
確かにそうである。
録音のみが達成できる音と響きである。