JBL 4350(その4)
JBLの4350は1974年当時993800円(一本、サテングレー。ウォールナットは1107000円)していた。
4350Aは1977年当時940000円(ウォールナットは1000000円)。
このころから円高になりつつあり、一年後には800000円(ウォールナットは850000円)になっている。
現在の天井知らずのスピーカーシステムに比べれば良心的な価格とはいえ、
高価なスピーカーではあった。
けれど働いている人であれば無理すれば、決して手の届かない存在だったわけではない。
このころには分割払いの回数も48回とか60回というのもぼちぼち出て来ていた。
60回といえば五年払い続けることになるが、4350クラスのスピーカーシステムならば、
五年くらいは最低でも使いつづけるモノだから、
払い終るころには次のスピーカーに替えているということはまずない。
そうやって買った人もいる、と思う。
ステレオサウンドにいたときにきいた話では四畳半に4350をいれている人がいる、らしい。
四畳半は、たぶん4350がおさめられた部屋ではもっとも狭い空間だろう。
四畳半に4350という人はほとんどいなかっただろうが、
六畳、八畳に4350という人はもう少しいた、と思う。
そんな狭い部屋に15インチ・ウーファー、しかもダブル・ウーファーの4350を入れるなんて……、
と揶揄する人は、当時よりもいまの方が多くいるように感じる。
すぐ、スピーカーの大きさに見合った空間、
空間に見合ったスピーカーの大きさ、などと、したり顔でいう。
もっともこういう人はインターネットで匿名での発言で目にすることが多いから、
したり顔かどうかはわからないけれども。