ハイ・フィデリティ再考(その2)
ハイ・ファイということばを知ったのは、これも「五味オーディオ教室」であった。
「五味オーディオ教室」には簡単な用語解説もあって、そこでは次のように書いてあった。
*
《ハイ・ファイ》
HiFi = High Fidelity の略で高忠実度の意。何に忠実なのかということだが、いちおう「原音に忠実に」ということにしておこう。 *
本文では、こう書かれている。
*
レコード音楽を家庭で聴くとき、音の歪ない再生を追求するあまり、しばしば無機的な音しかきこえないのは、この肉体のフィーリングを忘れるからなので、少なくとも私は、そういうステージを持たぬ音をいいとは思わない。そしておもしろいことに、肉体が消えてゆくほど装置そのものはハイ・ファイ的に、つまりいい装置のように思えてくる。
*
だから、オーディオに関心をもちはじめたときから、
じつはハイ・ファイということばに関しては懐疑的だったわけだ。
そして中学生の頭で考えついたのが、High Fidelity ではなくHigh Reality だった。
もちろん「五味オーディオ教室」を読んだから、であることはいうまでもない。