ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その1)
JBLの数あるスピーカーシステムのなかでもっともロングセラーを続けているのは、
3ウェイのブックシェルフ型の4311である。
現在では4312と型番は変っていても、その基本は1971年に発表された4310である。
4310は1973年に4311へ、そして1982年に4312となり、4312の型番の末尾にアルファベットがつくようになり、
現在の4312Eにいたる。
もう30年以上経っている。
30年もJBLが、このスピーカーシステムをつくり続けているということは、
やはり売れるから、が理由であろう。
どんなに優れたスピーカーシステムであっても、売れなければ(つまり商売にならなければ)、
JBLだって(ほかの会社だって)製造中止にするだろう。
つまり4311、4312は売れつづけているスピーカーシステムといえる。
4311の前身として4310があったことは知っていた。
でも見たことはない。
となると4310よりも、そんな私にとっては4311ということになるし、
4311が現在の4312へと続いている、という印象を持っている。
その4311だが、ステレオサウンドの読者だった私にとって、実はあまりいい印象は持っていない。
それはなぜか、というと、誌面でほとんど取り上げられていないからである。
私の知るかぎり4311は、ステレオサウンドの特集記事(つまりスピーカーの総テスト)には登場していない。
それに、意外に思われる方もいるだろうが、
35号、43号、47号といったベストバイにも4311は登場していない。