3.11とステレオサウンド(その1)
ここに書くことは、2011年6月に書こうと思ったこと。
たいてい、書きたいと思ったこと、書けると思ったことは、すぐに書き始めるようにしている。
なのにどうしていままで書かなかったかというと、書かない方がいいかも、という気持が強かったからだ。
2011年6月から約三年が経って、やはり書くことにしたのは、
その時感じたことを、より強く感じるようになってきたからだ。
2011年6月に出たステレオサウンドは、3.11のあとの最初のステレオサウンド(179号)である。
巻頭エッセイとして「今こそオーディオを、音楽を」が載っている。
2011年3月11日にステレオサウンド 178号は出ている。
それはたんなる偶然でしかないのかもしれないが、はたしてそうだろうか、ともおもう。
178号は編集長が、現在の染谷氏に変って最初のステレオサウンドである。
実はステレオサウンドの編集長が交代する、という噂はその二年前ごろから耳にしていた。
ほんとうかどうかは、部外者の私にはわからない。
一年前になると、こういう理由で交代する、というまことしやかな噂も入ってくるようになってきた。
それにステレオサウンドの奥付をみていると、交代の噂はほんとうなのかな、と思わせていた。
これらの噂が事実だったのかどうかは私にはどうでもいい。
とにかく2011年からステレオサウンドの編集長が変った、ということ。
それはおそらく急な交代ではなく、ある程度の準備期間があっての交代であったはずだと思っている。
ということは現在の染谷編集長は、
編集長になったら……、ということを、それだけの期間考えつづけてきたことだと思う。
そうやってつくられた、染谷編集長にとっての最初のステレオサウンドが2011年3月11日に出た。
それまで編集者として携わってきたステレオサウンドと、
編集長としてのはじめてのステレオサウンドとでは、それが書店に並んだときの感慨は同じではないはず。
そういう日が、3.11だった。
三ヵ月後の179号は、3.11を無視した号ではないことは、誰もが思っていたはず。
編集部もそういう気持でつくっていたことだとおもう。
「今こそオーディオを、音楽を」が載っていた。
この記事については特に書かない。
私が思ったのは、これだけなのか……、だった。