オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(その12)
ラックスは日本のメーカーである。
そのラックスを代表するアンプのひとつにあげられるSQ38FD/II。
このアンプを見ていて、日本的なイメージを感じるのかといえば、
私個人だけなのかもしれないが、微妙なところがある。
マランツのModel 7に私が感じている日本的なイメージを、
不思議なことに日本のアンプであり、ほぼ間違いなく日本人がデザインし、日本で製造されたアンプ、
しかもModel 7のデザインが、その下敷きとなっているSQ38FD/IIをみても、
日本的なイメージを感じとれないのは、なぜなのかが自分でもはっきりとしなかった。
このことが、SQ38FD/IIのデザインが、瀬川先生のデザインだとなかなか思えなかった最大の理由である。
瀬川先生が感じられていたModel 7のデザインのよさと、
私が感じているそれとでは、同じところもあれば違うところもあることだろう。
だから、私が感じている、Model 7の日本的なイメージを瀬川先生が感じられていたのかは、わからない。
そうではなかった、ともいえるわけで、
そうなると、SQ38FD/IIのデザインが、瀬川先生ではない、とする理由はなくなるわけだ。
それに瀬川先生はユニクリエイツというデザイン事務所で、ラックスからの出サインの依頼を受けられていた。
つまりラックスからみれば外注ということになる。
ユニクリエイツが優れたデザインを提案し採用されても、
そのままのデザインで世に出るとは限らない。
いくつかの事情により、ラックス社内でデザインに手が加えられることは、
他のメーカー、他の業種でもあることだ。
SQ38FD/IIも、そういう例かもしれない。
そう考えることはできる。
それでも、私には、どうしてもSQ38FD/IIが瀬川先生のデザインだ、と思えないところがあった。