オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(その10)
いつ誰にきいたのかはもうはっきりとしないけれど、
ラックスのアナログプレーヤー(ターンテーブル)のPD121は、瀬川先生のデザインだときいた。
PD121は、テクニクスのSP10と同盗品でありながら、
SP10の、素っ気なさすぎるデザインとは違う、魅力的なプレーヤーとして仕上げているところに、
PD121は、愛用したい、と思わせる魅力がある。
ステレオサウンド 38号に載っている瀬川先生のリスニングルームにも、
EMTの930stの他に、PD121が写っていた。
そのPD121が瀬川先生のデザイン、であるとすれば、
PD121はいつかは手に入れたい、手もとに置いておきたい、と思っていた。
けれど、ほんとうに瀬川先生のデザインなのかを検証していくと、
どうも違っていることがわかってきた。
瀬川先生と一時期デザインの仕事を、同じ事務所でされていた木村準二さんのデザインである。
瀬川先生と木村さんは、ユニクリエイツというデザイン事務所を立ち上げられて、
ラックスのデザインの仕事をされていた。
PD121は、だからユニクリエイツのデザインということで、
そこから瀬川先生のデザインというふうにすりかわっていったのだろう。
いまでもPD121のデザインは、瀬川冬樹である、と書いている個人サイトがあるが、
木村さん本人に確認しているから、PD121は木村さんのデザインであり、
PD121のデザインをラックスの社内でみたとき、瀬川先生が悔しがられていた、という話も、
瀬川先生とデザインの仕事を一緒にされていた神戸さんからきいている。
PD121のデザインは木村さんだということは以前も書いているけれど、
瀬川冬樹デザインということが、いまも信じられているので、もういちど書いた次第。
このこともあって、SQ38FD/IIのデザインは、瀬川先生なのか、それとも違う人なのか、
自分のなかではっきりとした答を出せずにいた。