トランスから見るオーディオ(その24)
理想トランスが実在していたとする。
この理想トランスの二次側は開放(つまりなにも接続しない)の状態で、
一次側のインピーダンスはどういう値を示すか。
巻線比が1:1であっても、1:2であっても、1:10でも、
巻線比に関係なく無限大の値を示す、のが理想トランスというものである。
理想トランスの二次側に負荷を接続する。
負荷となる機器の入力インピーダンスが理想トランスの二次側をターミネイトすることになり、
この二次側の負荷の値と巻線比によって一次側のインピーダンスが測定できるようになる。
だが現実に存在しているトランスはすべて理想トランスとは呼べない。
二次側をターミネイトしなくても、開放した状態でも一次側のインピーダンスを測れば、
無限大ということは絶対にあり得ない。
実際のトランスはどんなに良質の材料を使って、
どれだけ注意をはらってつくっても、巻線の直流抵抗をゼロにはできないし、
インダクタンスを無限大にもできない。
コアの磁束密度にしても同様だ。