同軸型はトーラスなのか(その7)
回路──、ここにも「回」の字がある。
だから回路は、すべてトーラスである、とは言わないけれど、
トーラスとは何なのか、トーラスがオーディオ機器の中に存在しているのかどうか、
存在しているとしたら、どういうかたちでなのか、
そういった観点から、アンプや回路を見て考えていく、というのも「あり」だと思うようになっている。
たとえばアンプの部品でいえば、トロイダルコアがトーラスである。
ノイズ環境がひどくなってきたいま、ノイズフィルターとして使われるコイルは、
トロイダルコアに巻かれているし、
電源トランスに、トロイダルコアを採用してきたものは、1970年代後半から増えてきた。
信号用トランスでは、フィデリティ・リサーチのMCカートリッジ用昇圧トランスが、
早い時期からトロイダルコアを採用している。
あまり知られていないようだが、真空管のパワーアンプで、
トロイダルコアの出力トランスを搭載しているのもあった。
Gotham(ゴッサム)社のアンプがそうだ。
残念ながら現物をみたことはないが、聴いたことのある人(サウンドボーイの編集長だったOさん)の話では、
相当にいい音だった、らしい。
真空管アンプに関しては、人一倍うるさ型のOさんが褒めるわけだから、
機会があれば、ぜひ聴いてみたいとずっと思っているアンプのひとつだ。