同軸型はトーラスなのか(その8)
マークレビンソンのパワーアンプML2には、電源トランスがEI型のものとトロイダル型、2つのコアの種類がある。
どちらが音がいいのかは人それぞれだろうが、以前書いたように、
EI型のものをエポキシで固めたものが、ML2らしい音をもっともよく抽き出すと、
私のまわりに限っては、高く評価する人が多いように感じている。
Oさんの受け売りだが、トロイダルコアの電源トランスは、一般的にいって、音が甘くなる傾向が強い、とのこと。
その理由として、巻線の巻き方にある、ときいている。
EIコア型の場合、巻枠にコイルを巻いていく。このとき、巻きのテンションは管理され、
しっかりと巻かれていくことが多い。
ところがトロイダルコアの場合、線材をあらかじめコイル(バネ)状にして、
そのままトロイダルコアに回転させながら絡ませていくだけだから、
どうしてもコアに対してしっかりとテンションをかけて巻いていくことができない。
比較的、ゆるゆるな巻きになるから、だそうだ。
巻きが緩いものを、あとからピッチで固めてもだめなことは、容易に想像できる。
この話をきいたのは1982年頃のことだから、現在のトロイダルコアの電源トランスが、
いまもこういうふうに巻かれているとは限らない。
テンションをしっかりとかけながら(管理しながら)が可能な方法が生み出されているかもしれない。
その点、フィデリティ・リサーチのMCカートリッジの昇圧トランスは、ひとつひとつ手巻きだったと聞いている。