VOXATIV Ampeggio Signatureのこと(その5)
音が鳴り出すまでは一抹の不安がなかったわけではない。
ステレオサウンドにVOXATIV Ampeggio Signatureが紹介された記事を読めば、
パワーアンプとの相性が、ほかのスピーカーシステムよりも難しい面があるように感じられる。
アークのブースではオーディオリサーチのアンプが組み合わされていた。
VOXATIVの原型ともいえるローサーのユニットのイメージが強いこともあってだろう、
それまで鳴らしていたフランコ・セルブリンに接がれていたダニエル・ヘルツから、
管球式のオーディオリサーチへと替えられた。
オーディオリサーチのアンプはステレオサウンドでけっこう聴いている。
今と昔とでは変化しているのだろうが、
1980年代のオーディオリサーチのアンプは高能率のスピーカーシステムと組み合わせるには、
S/N比の面で、わずかとはいえ不満を感じないわけでもなかった。
VOXATIV Ampeggio Signatureの能率は100dBを超えている。
昔のオーディオリサーチのままであるわけがない、とわかっていても、
音が鳴り出すまでは、耳障りな音も若干するのではないか、とも思っていた。
アークのブースではVOXATIVにはオーディオリサーチのアンプが常に組み合わされていた。
ダニエル・ヘルツのアンプで鳴らされることはなかった。
そういう試聴条件でどれだけ確実なことがいえるのかといえば、
まったく、としかいいようがないのはわかっていても、
VOXATIVは、それほどパワーアンプを選り好みしないように感じていた。
一曲だけでもダニエル・ヘルツのアンプで鳴らされていたならば、はっきりしたことがいえる。
それでも初日と最終日とであわせて約二時間聴いていて、
アンプとの相性を疑うような鳴り方をすることはなかった。