オーディオ・システムのデザインの中心(その9)
この項の(その6)で、バラコンについて書いた。
シスコン(システムコンポーネント)に対する言葉として、ある時期使われていた。
シスコンも決していい言葉ではないけれど、バラコンはシスコンよりもひどい。
こんな言葉は誰も使わないのがいい。
けれど、われわれわオーディオマニアがついやってしまっていることは、
フランケンシュタインが理想の人間をつくろうとして陥ってしまったのと、
ほぼ同じ立ち位置にいる、ともいえる。
バラコンという言葉は使いたくないけれど、
ほとんどのオーディオマニアが組合せにおいてやっていることは、
フランケンシュタイン・コンポーネントといえることである。
なぜフランケンシュタインは理想の人間をつくろうとして、怪物を生み出してしまったのか。
そんなことを考えていると、
今年のインターナショナルオーディオショウで見たあるメーカーの、あるオーディオ機器のことが浮んでくる。
このオーディオ機器がなんであるのか、その型番について書くのを少しためらっている。
このオーディオ機器が発表になった時、
インターネットに公開されていた写真を見た時、そのデザインにびっくりした。
いい意味でのびっくりではなかった。
だから、型番を書いていこう、とその時は思った。
ただ一応実物をきちんと見てからにしようと思い、
インターナショナルオーディオショウまで待っていた。
初日に見てきた。
写真で見るよりも、ずっと凝った細工がなされていて、仕上げも丁寧である。
なのに、なぜこんなデザインにしたのか、と考えてしまう。
この時までは、型番を書こう、と思っていた。
だがフランケンシュタインのことが思い出されて、躊躇うようになってしまった。