「スピーカー」論(その2)
以前から「スピーカー楽器」論がある。
スピーカーは、変換器である。あくまでも入力信号(アンプからの信号)に対して高忠実であるべきだ、という、
いわゆるHigh Fidelityに基づく考え方、「スピーカー変換器」がある。
スピーカーの開発者・技術者であれば、
スピーカーをでき得る限り高忠実な電気→音響変換器として捉え、考えていくことは、至極当然である。
そうやってスピーカーは、いわば進歩してきた。
このことに対し「スピーカー楽器」論は、
スピーカーの開発者・技術者側からの意見ではなく、
聴き手・受け手側からのものであることは、
スピーカーは、楽器なのか、高忠実な変換器であるべきなのかについて語るときに忘れたり、
ごっちゃにしたりしてはいけない。
「スピーカー楽器」論は、あくまでも聴き手側からのもので、
「スピーカー楽器」論を、スピーカーの開発者・技術者が唱えることではない。
最近では、「スピーカー楽器」論を謳うメーカーがある。
その存在を、だからといって否定はしないものの、
「スピーカー楽器」論を謳うメーカーでスピーカーをつくっている人を、
スピーカー開発者・技術者とは、呼びにくい。
あくまでも、「スピーカー楽器」論を前面に謳うかぎりは、スピーカー製作者である。