PCM-D100の登場(その2)
PCM-D100は本体に32GBのメモリーを内蔵している。
このメモリーにマイクロフォンが捉えた音が、ふたつのデジタル信号のどちらかで記録される。
メモリーは拡張もできようになっている。
このタイプの録音器は、ソニーからも出ていたし、他社からも出ている。
メモリーを内蔵していて、そのメモリーに記録する。
つまりこの点において、従来のテープを使用するデッキとは異る。
テープを必要とするデッキは、テープ(録音媒体)がない時点では、録音器ではなく録音機である。
ところがメモリーを内蔵しているタイプは、それそのものが「器」でもあるから録音器と呼べる。
もちろんテープデッキもテープを装着した時点で、録音機から録音器へと変る。
けれどPCM-D100を含めて、このタイプはマイクロフォンもそなえている点で、
より録音器である、といえる。
PCM-D100は10万円前後する。
10万円あれば、何がしかのアクセサリーを購入できる。
ケーブルもあれば、インシュレーターの類、その他のアクセサリーが買える。
これらのアクセサリーは、直接音を変える。
良くなるか悪くなるかは別としても、音は大なり小なり変化する。
そういう直接的な変化は、PCM-D100を購入してシステムに導入しても得られない。
だからケーブルに10万円を出費するのはなんとも感じない人もでも、
PCM-D100に10万円を出費するのは、もったいなく感じても不思議はないかもしれない。
PCM-D100は直接的に音に変化を与えはしない。
けれど、とにかく身近な音から、録音をはじめて再生することで、得ることは決して少なくない。
そうやって得られたものによって、音は間接的に変化していく。
しかもPCM-D100は、PCMとDSDの両方を自分で録音再生して確かめられる。
PCM録音は、サンプリング周波数、ビット数を変えて録音できる。
これらによって、音がどう変化していくのかも確認できる。
実際にPCM-D100を手にして使ってみれば、
使ってこそ確認できることがいくつもあることに気がつくはずだ。