Date: 8月 22nd, 2013
Cate: チューナー・デザイン
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チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その9)

三井啓氏の記事によれば、チューナーも、コントロールアンプ、パワーアンプとともに企画されていたことがわかる。
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」のパイオニア号、
204〜205ページにデザイン・スケッチが掲載されている。

コントロールアンプ、パワーアンプのスケッチとともに、
あきらかにチューナーのデザイン・スケッチがそこにはあった。

ではなぜチューナーのExclusive F3だけが約一年も遅れたのか。
その理由は、測定器の開発から始まったことにある。

三井氏の記事にはこうある。
     *
今日では広く採用されている群遅延特性測定器や、微分利得特性測定器といった精巧な測定器は、「エクスクルーシヴ」のFM専用チューナーを開発するうえで必要に迫られ、設計グループによって実現したものであった。
     *
記事には測定器の写真も載っていて、その説明文には「測定器メーカーとの共同開発による」とある。

オーディオ機器の開発の大変さは、なんとなくではあっても想像がつく。
けれど、測定器、それも新しい測定器となると、どれだけ大変なのかは、私には想像がつかない。

おそらく新しい測定器の開発と並行しながらExclusive F3の開発・設計も進められていた。
記事にも、「新しいFM専用チューナーは、昭和47年末ごろの設計の段階では」という記述がある。
昭和47年は1972年、Exclusive F3の発売は1975年。

Exclusive F3は、それだけの時間がかけられたチューナーといえる。

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