チューナー・デザイン考(ラジオのこと・その2)
FM誌が出した女性ヴォーカルのムックでの、ケイト・ブッシュの取り上げ方は、
いちばん大きかったわけではなかった。といって小さいわけでもなかったけれど、
そのムックが推していたのは、他の女性歌手数人だったように憶えている。
そんなムックを見ながら、この人はレコードは聴いてみよう、
この人の次は、この人かな、そんなことを考えながら眺めていた。
とはいえ、そうそう聴きたい(買いたい)LPが買えるほどのこづかいがあったわけではないので、
FM誌の番組欄をチェックすることになる。
そんなとき、いいタイミングでNHK-FMが、
夕方の番組で一週間、女性ヴォーカル特集をやってくれた。
そこには、ムックを見て聴きたい、と思っていた歌手の名があった。
次に聴きたいと思っていた歌手の名前もあった。
たまたまカセットテープも一週間分録音するだけの手持ちがあった。
せっかくの機会だから、それほど強く聴きたいとは思っていない、
他の歌手の日も録音することにした。
そんななかのひとりが、実はケイト・ブッシュだった。
録音はしても、聴きたい順から聴いていく。
ケイト・ブッシュの日を録音したカセットテープを聴いたのは、だから最後だった。
たしか女性アナウンサーによる番組だったはず。
ケイト・ブッシュについての説明があって、曲が流れてきた。
このとき聴いた女性ヴォーカルのなかで、いまも聴き続けているのはケイト・ブッシュだけである。
そのケイト・ブッシュを知ることができたのは、出あうことができたのは、FM放送のおかげであり、
チューナーのおかげである。
そのことを、目の前のパイオニアのチューナーが思い出させてくれた。