終のスピーカー(Saxophone Colossus・その3)
「Harkness」から鳴ってくるSaxophone Colossusを聴いていると、
あの感覚に似ている、と思ってしまう。
いまから20年近く前、1995年の5月、ちょうどジロ・デ・イタリアの初日にあたる土曜日に、
DE ROSAのロードバイクを買った。
初めての、本格的なロードバイクだった。
外国製の自転車も初めてだった。
購入した自転車店からの帰路、
当然、買ったばかりのDE ROSAに乗って帰ったわけだが、
正直、大変なモノを買ってしまった……、と少しばかり後悔していた。
こんなにも、それまで乗っていた、いわゆる一般的な自転車とは異るモノだとは思っていなかった。
それでも乗って帰るしかないわけで、
乗り続けていると、少しずつなれてくる。
この自転車の良さがわかってくる。
無事帰宅できて、ほっとしていた。
にもかかわらず、もう一度乗りたい、とすぐにDE ROSAと出かけてしまった。
こんなふうに私の自転車のつきあいははじまった。
少しずつ走れる距離は伸びてくる。
出せるスピードも増してくるようになる。
そうするとイタリアのロードバイクのもつ性格が、徐々にはっきりとしてくる。
時速20〜30kmくらいで走っている時と、
40km/hをこえたとき、さらに50kmをこえたとき、
それぞれに感じることが違う。
こういう速度で走ることを前提としていることが、はっきりとわかる。
そして、自転車に、あおられる感覚が確かにあった。
この感覚が、D130ソロでSaxophone Colossusを聴いていた時に蘇っていた。