オーディオ機器の調整のこと(認識の違い)
この項はオーディオの「調整」について書いていっている。
「調整」といっても、きちんと説明しようとすれば、
かなりの文字の量を必要となるし、それだけ時間もかかる。
それでも「調整」という、この短い言葉に対する認識は、
オーディオマニアであれば、すくなくともある程度のキャリアを積んだオーディオマニアであれば、
共通認識がある、と私はこれまで思ってきた。
音を表現する言葉とは、オーディオに関する言葉であっても、そこは違う──、
そう思ってきていた。
けれど話をしたり話を聞いたりしてきていると、
「調整」という言葉ですら、実のところ共通認識は非常に曖昧で脆さがあることに気づかされた。
それはこの項で、これから書いていくカートリッジの針圧の調整、
なにも針圧の調整だけにとどまらず、カートリッジに関係するすべての調整も含めて、ではあるが、
ここでは話を明確にするために、針圧の調整ということにだけにするが、
カタログに標準針圧:2.5gと書いてあれば、
2.5gぴったりに合せるのが、カートリッジの針圧の調整だと思っている人がいまもいる。
そればかりではなく、たとえばJBLの4350というスピーカーシステムのレベル調整。
4350はバイアンプ駆動を前提としたシステムで、
ウーファーは2231Aを二発並列に接続して、中高域とは独立したアンプで鳴らす。
2231Aの出力音圧レベルは93dB/W/m、
これがダブルで使用されているから、おそらく低域部の出力音圧レベルは96dB/W/mということになる。
4350の中低域より上の帯域に関してはどうだろうか。
4350Aの出力音圧レベルは95.5dB/W/mとカタログには表記されている。
この値は、間違いなく低域部(2231A二発分)の出力音圧レベルであり、
中低域より上の帯域、
ミッドバスの2202A、2440 + 2311 + 2308、
トゥイーターの2405から構成されるセクションの値もそうだということにはならない。