AAとGGに通底するもの(その7)
これが「肉体のない音」なのかもしれない。
グールドのゴールドベルグのCDがケースに収められるのを見ながら、そんなことも思っていた。
試聴会が始まって、機械の説明とともにつぎつぎとCDが鳴らされていく。
そのなかには、グールドほどではないが、聴きなれたものもあった。
それらの鳴り方も、グールドのゴールドベルグに感じた印象と変らない。
ポップスがかかると、おっ、と感じる。いままでのCDとは違う鳴り方で、
はじめて聴くCDということもあり、それまでの異和感はとくに感じられなかった。
それほど長時間の試聴ではなかったのだが、聴いていてわかったのは、
アコースティック楽器主体の録音では、奇妙な異和感がつねにつきまとう。
ポップスも、それも電子楽器やコンピューターによる音の調整を施した録音では、
ある種の爽快感が現われてくる。
内容そのものに興味がなかったため、CDのタイトルは忘れてしまったが、
アメリカのハイエンドメーカーのあいだで、低音の鳴り方をチェックするのによく使われるというCDがかかった。
このCDだけは、まぁ、たしかにすごかった……。