AAとGGに通底するもの(その5)
この項の(その3)で、グールドのゴールドベルグ変奏曲なら、たいていの場所で耳にしても、
グールドの演奏だと、耳が判断する、といったことを書いた。
まぁ、よほどひどい環境でも無いかぎり、ふしぎなもので、さほど高価なスピーカーでなくても、
レコード店に置いてある程度のスピーカーから、ラジオのスピーカーであっても、
グールドの演奏だと、バッグラウンドミュージックであっても、ふしぎと耳にはいってくる。
にもかかわらず、昨年、ある試聴会で、どうして?、と考えてしまうことがあった。
開始時間の20分ほど前に会場についた。バッハのゴールドベルグ変奏曲がかかってくることは、すぐにわかった。
よさそうな位置の席を見つけて坐って、そのゴールドベルグに耳をかたむけたら、
「もしかして、グールド?」と思ってしまった。
弾き方は、あきらかにグールドの演奏に似ていると感じても、「あっ、グールドだ!」とは感じられなかった。