Date: 6月 20th, 2013
Cate: トランス
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トランスからみるオーディオ(その5)

1978年だったか、ビクターがダイレクトカップル方式と名づけたMC型カートリッジを発表した。
このMC1は好評で、すぐさまシリーズ機としてMC2Eが出て、
さらにMC5E、MC101E、MC-L10と続き、MC-L1000が最終モデルとなった。

古くはウェストレックスの10A、ノイマンのDST、サテンのカートリッジなどの一部のカートリッジをのぞけば、
発電コイルはカンチレバーの根元近くにある。
理想は針先に発電コイルが直接取り付けられていることであるが、
これを実現するにはいくつかのクリアーすべき問題点がある。

いちばん大きな問題は、コイルの軽量化である。
カンチレバーの根元にコイルがあるのは、針先に直接もしくは近接しているのとでは、
振動系の実効質量において大きな差が生ずる。

針先近くにコイルをもってくるためには、
しかも針圧を重くせずに、という条件がついていれば、コイルそのものをかなり軽量化しなければならない。

ビクターはそれをIC製造技術を応用し、ウェハー上に蒸着した導体をフォトエッチングした、
いわゆるプリントコイルを実現することで、この問題をクリアーしている。
MC1に採用されたプリントコイルの重量は200μgで、通常のコイルの数10分の1ということだった。

発電コイルそのものは小さく軽くなっていても、
針先から1.5mmというきわめて近くに取り付けることで、その分コイルの振幅幅は大きくなるため、
出力電圧は0.2mV、針圧は1.5g±0.2gという値を実現していた。

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