オーディオ機器の調整のこと(その9)
SMEの3009/SeriesIIIがステレオサウンドに初めて登場したのは、45号の新製品紹介であった。
このころの新製品の紹介のページは、いまと違って、山中先生と井上先生のふたりだけで担当されていて、
スピーカー、アンプ、プレーヤー関係と、大きく3つにわけて、
その号での注目製品、および全体の傾向についての対談がまずあって、
書き原稿では山中先生が海外製品を、井上先生が国内製品を担当されていた。
3009/SeriesIIIが45号でとりあげられた新製品の中でも話題のモノであり、
対談の中でも取り上げられている。
そこには、こうある。
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山中 SMEの社長のエイクマンという人は、自身が大変なオーディオマニアということでも有名なんですが、それもあってSMEのアームはこの人のカートリッジに対する考え方の影響をかなり色濃く受けているわけです。最近エイクマン氏はMC型カートリッジを愛用し始めているということで、そうなると単なる軽量アームではいい結果が得られない。その結果このアームが生まれたということだと思うのです。
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1976年あたりから海外でもMC型カートリッジが見直されてきた、という話はきいている。
日本製のMC型カートリッジがその火付けとなっていた、ともきいている。
同時に半導体の進歩、アンプの回路技術の進歩もあって、
ヘッドアンプの性能、音質ともに優秀なモノも登場してきている。
3012がオルトフォンのSPU、3009/SeriesII ImprovedがシュアーのV15、
となると3009/SeriesIIIは、どのメーカーのどのカートリッジなのだろうか。
おそらくオルトフォンのMC20なのではないかと思う。
MC20は1976年に登場している。
3009/SeriesIIIの登場よりも1年以上前のことである。
MC20の自重は7.0g、適正針圧は1.7gで、針圧範囲は1.5〜2.0g、
3009/SeriesIIIで使うにはちょうどいい。