598というスピーカーの存在(その19)
限られたコストのなかで、物量投入が要求されるとなれば、
どこかを削っていかなければどうにもならない。
削れるところはどこか。
削っても、そのことに対して批判の声を受けにくいところ、
削ることによって、そのことが音質向上に寄与していると言い換えられるところ、
それはスピーカーシステムにとってレベルコントロールが、まずあげられる。
レベルコントロールを設けることによって、
国産のスピーカーシステムの場合、内蔵のネットワークの配置はリアバッフルであることが多く、
レベルコントロールはフロントバッフルあることが多いわけだから、
ネットワーク本体とレベルコントロールのあいだ(エンクロージュアの奥行きにほぼ相当する)は、
配線の引回しが必要となる。
レベルコントロールを廃すれば、レベルコントロールを構成する連続可変のアッテネーターを、
抵抗によるアッテネーターに置き換えられる。こちらは抵抗、二本で構成できる。
それにレベルコントロールのパネルもいらなくなるし、
ネットワーク本体とレベルコントロール間の配線材も不必要になる。
レベルコントロールを設けることによる手間も省ける。
それにもうひとつメリットもある。
スピーカーシステムのエンクロージュアの中はいくつもの磁界がある。
スピーカーユニットすべてが内磁型であればそれほどではないけれど、
外示型の磁気回路で防磁対策がなされていなければ、
それにマルチウェイのスピーカーシステムはいくつものスピーカーユニットを取り付けているため、
それぞれの磁界が干渉しているともいえる。
そういう中をスピーカー内部の配線材は引き回されている。