手がかり(その14)
アナログディスクは、どこまで低い音をカッティングできるかというと、
カッターヘッドがラッカー盤(マスターディスク)にカッティングできるのは8Hzまでフラットに刻める。
この8Hzという値はアナログ式のテープレコーダーよりも、
ずっと低い周波数まで記録できるということを表している。
ダイレクトカッティング以外では一度テープに記録して、ということが行われる。
そこではアナログ時代にはテープスピードが15インチ(38cm)、さらには30インチ(76cm)というものもあった。
テープスピードが速いほど音質的には有利になるわけだが、
こと低域に関してはテープスピードを増すことによって、不利になる面もある。
テープに録音するヘッドには必ずギャップが設けられている。
このギャップがあるからこそ録音、再生が可能になるわけだが、
このギャップがコンターエフェクトという、低域のうねりを生じさせる。
アメリカではヘッドバンプというらしい。
このコンターエフェクトは、テープスピードが上るほど、発生する周波数も上昇していく。
テープスピードが増すことで高域の録音・再生限界は上に移動するわけだが、
テープスピードが増したからといって、低域の再生限界が下に移動するわけではない。
こと低域の録音能力に関しては、テープよりもディスク録音が優っているといえる。
つまりダイレクトカッティング、もしくはデジタル録音をマスターテープとすれば、
アナログディスクは8Hzまでフラットにカッティングできるわけだ。
CD登場以前と記憶しているから、1981年か1980年だったか、
震度計が記録した波形をデジタル処理して音としてカッティングしたアナログディスクが出たこともある。
とにかくカッティング時には8Hzという、そうとうに低い周波数まで記録できる。
だからといって、8Hzまで再生できるというわけではない。