Date: 5月 10th, 2013
Cate: 手がかり
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手がかり(デザインに関しては……)

ステレオサウンドの存在を知り、ステレオサウンドを熱心にくり返し読みはじめたころ、
とにかく、いい音への手がかりをステレオサウンドに求めていたように思う。

経験は圧倒的に少ない。
それを少しでも補うためてもあり、いい音とはいったいどういう音なのか、
音を判断するということはどういことなのか、
その手がかりが欲しかった。

欲しかった手がかりは、音に関することだけではなかった。
デザインに関しての手がかりも、ステレオサウンドにあのころの私は求めていた。

私のオーディオの始まりといえる「五味オーディオ教室」には、B&Oのデザインについて書かれている文章があり、
これを読んだ時、とにかくB&Oがどういうデザインなのかを知りたかったのを想い出す。

中学生の視点で、いいデザインということを判断できるとは思っていなかった。
好きなデザインのオーディオ機器はあった、面白いと思うオーディオ機器のデザインはあった。
いいとおもえるデザインのオーディオ機器もいくつかあった。

でも、それがオーディオ機器のデザインとして優れているのかどうかを判断できる「もの」が、
あのころの私にはなかった。
だから、デザインに関しての手がかりも、音への手がかりと同じくらいに欲していた。

ステレオサウンド 43号に瀬川先生の文章がある。
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 最近のオーレックスの一連のアンプは、デザイン面でも非常にユニークで意欲的だが、SY77は、内容も含めてかなり本格的に練り上げられた秀作といえる。ただしこの新しいセパレートシリーズでは、プリアンプの方が出来がいい。適当な時間を鳴らしこまないと本領を発揮しにくいタイプだが、それにしてももう少し踏み込みの深い、艶のある音になれば一層完成度が高められると思う。
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オーレックスのコントロールアンプSY77について書かれたものだ。
SY77は、中学生ながらいいデザインだな、と感じていた。
とはいっても、断言できるほどのデザインの判断に関するものがなかったから、
この瀬川先生の文章は「やっぱりそうなんだ!」とおもえ、嬉しかったのを憶えている。

そして同じオーレックスのチューナーST720についてはこう書かれている。
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 物理データや音質面で、この価格のチューナーとしてほんとうに他社と同格あるいは以上かといえばその点は注文もあるが、画一的な表現の国産チューナーの中にあって、ユニークな操作性を大胆な意匠で完成させたところに絶大な拍手を送りたい。こういう製品が、モデルチェンジなしに育つ土壌を大切にしよう。
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ここでもオーレックスのデザインについてふれられている。
ステレオサウンド 43号は、私にとっては別冊を含めて四冊目のステレオサウンドであった。
それでも四冊をくり返し読んでいれば、瀬川先生の書かれたものに、何かを感じることはできていた。

この人が、「絶大な拍手を送りたい」と書かれている。

SY77、ST720が、その後の私にとってどういう意味をもつモノになるのかは、
まったく想像できなかった遠い日に得た、
オーディオ機器のデザインに関する、小さいけれど、確実な「手がかり」であった。

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