598というスピーカーの存在(その6)
HIGH-TECHNIC SERIESのトゥイーター特集号で、
JBLの2405の音については、井上先生、瀬川先生、黒田先生の三人とも、
表現の仕方に違いはあってもそこで語られようとされていることは同じであった。
違うのは、ピラミッドのT1と2405の、どちらを選択するかという点であった。
井上先生と黒田先生はT1、瀬川先生は2405だった。
T1に関しては、私は聴いたことはない。
それでも2405を使ったシステム(JBLの既成のスピーカーシステム、自作システムを含めて)は、
幾度となく聴いている。
それにジェームズ・ボンジョルノの設計したアンプも自分で使っていた。
HIGH-TECHNIC SERIESの鼎談で、瀬川先生はT1対2405の音を、
アンプでいえばGAS対マークレビンソンというふうに表現されている。
だからT1の音を聴くことはなかったけれど、T1の音を想像できる。
その想像は、かなり正確なものだろうともいえる。
それほどにHIGH-TECHNIC SERIESの巻頭の鼎談記事はおもしろいものであった。
598のスピーカーシステムをテーマにしておきながら、
598のスピーカーシステムが重くなってきてきたこと、
長岡鉄男氏のスピーカーユニットの重さを量られたことを書きながら、
ここで2405とT1の話を持ち出したのは、平面な切り張りの魅力をもつ2405の音を、
立体的な音と表現する人も、またいるということ、
そこに音を言葉で表現することの問題についてふれておきたいからである。