Date: 4月 18th, 2013
Cate: D130, JBL
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D130とアンプのこと(その41)

もし私が後半の試聴で聴くカートリッジ12機種に、スタントンのLZ9Sを選択していたら……。
井上先生はどういう手段で鳴らされたであろうか。

井上先生は、ステレオサウンド 75号の試聴で、
トーレンスのMCHIIにオルトフォンの昇圧トランスT2000を組み合わせ、
試聴記にもあるようにひじょうにいい結果が得られた。

いうまでもなくMCHIIのインピーダンスはオルトフォンのカートリッジよりも高い。
オルトフォンが3Ωとか5Ωの値なのに対して、EMT・TSD15をベースとするMCHIIは24Ω。

T2000はオルトフォンのカートリッジMC2000専用として開発されたトランス。
だから1次側のインピーダンス(入力インピーダンス)は、3Ωと発表されている。
ふつうに考えればMCHIIの昇圧トランスとしてはインピーダンスのマッチングがとれず、
組合せとしては、まずT2000の選択はあり得ない。

そんなことは百も承知で、井上先生はMCHIIとT2000を組み合わせられた。
実際、この時の音はよかった。

井上先生の隣で、その音を聴いていて「さすが」だとおもっていた。

そんな井上先生だから、スタントンのLZ9Sの昇圧手段としてヘッドアンプにこだわることなく、
あれこれ試された可能性は高い。
このことを、いまおもっている。

ステレオサウンド 75号は1985年。このときの私は未熟だった、といまおもう。
それに、音に対する貪欲さ・執拗さが足りなかった、とおもう。

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